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2007年03月18日

一般に使われている「ユーザビリティ」という言葉は間違っていると思う

忙しさのあまり、最近は「写真日記(日常写真館)」とかばかり更新してましたが、今日は久しぶりにデザイン論に言及してみたいと思う。


昨年暮れから、サイトをリニューアルしたり新しいサイトを立ち上げる関係の仕事が目白押しで、昼夜を問わず僕に襲いかかってくる。それはそれでいいとして、その中で、一貫して僕が伝えている言葉は単純で、
「誰のためのウェブサイトなのか?」
という事につきる。
ウェブサイトを立ち上げる際や、リニューアルなどに際しては、クライアント側に大きな動機付けがあるもので、それを解消する事が主たる目的になる訳ですが、クライアントがイメージしている「動機」は実に単純明快で、だれもがわかるテーマである事が多い。
例えば、
〜新しい製品の立ち上げで爆発的な売り上げにつなげたい!
〜ページの遷移がわかりにくいからなんとかしてほしい。
という感じ。
そして、一般にこうしたケースで必ずと言っていいほど、担当者の口をついて出てくる言葉が、
ユーザビリティをよくしたい!
である。

ひところに比べると、ウェブ担当者の意識も高まり、目指すものの志も高くなったと言える。
僕としても、とても仕事がやり安くなったと感じる今日この頃ではあるものの、その一方で「誤解を解く」仕事が増えた感じがしている。
僕と一緒に制作をしている方々も含め、決して悪気があって言っている訳ではない事は承知で、

ユーザビイリティ≠使いやすい

なんですよ。という一言。
デザインの打ち合わせの際に、ポロッと「このページ、ユーザビリティが悪いっすね〜」などと言われることが多々あります。これはある意味で、香西に立ち向かうためのツールとして有効性が高いと判断しての事だとも思います。しかしながら、その使い方は間違えております。(´⌒`;)

IT用語辞典による「ユーザビリティ 【usability】」には、

ソフトウェアやWebサイトの「使いやすさ」のこと。
様々な機能になるべく簡単な操作でアクセスできることや、使っていてストレスや戸惑いを感じないこと

と、記されています。
確かに、「ユーザビリティは使いやすさだ」と記されています。じゃあ、なぜ!違うの????
答えは至極簡単だったりします。冒頭でも「ウェブサイトは誰のためにあるのか?」と書きましたが、ユーザビリティがいいか悪いかを判断するのは、常に使っている本人その人です。これは、検証している最中であっても、クライアント自身であったり制作者自身であったりします。しかし、いずれのケースも「主観的」な個人の感覚が判断基準になっていることに気づかれましたでしょうか?
そう、使いやすさは、そのウェブサイトを使っている人それぞれが感じる事であり、その人のリテラシーに大きく左右され、趣味嗜好にも左右されます。単純には「使いにくい」というご指摘は、貴重なご意見として承るわけですが、それが的確で適切な指導であるかとは別問題なわけです。
U-Siteにおける「ユーザビリティとは?」には、こんなわかりやすい文脈がありました。

ユーザビリティは使いにくさ、判りにくさ、などマイナス面がどれだけ小さいかをあらわす言葉と定義できます。

ターゲットとするさまざまな人が数多く訪れていただく際に、
どれだけたくさんの人が「使いやすい」と感じていただけるかの割合が高い
事こそが、ユーザビリティの良さという事だと解釈できます。
使いやすさを追求していくと、それはテキストで表示する方が使いやすいと感じるケースもあれば、アイコンなどの絵文字を利用した方がよいケースもあるでしょう。いずれのケースも、そう思わない人が対局には必ずいて、どちらのケースをも考慮してこそ「ユーザビリティ」がよいと言えるのではないでしょうか。

ユーザビリティをもっとも破壊する主犯は「デザインそのもの」です。
きれいなデザインやかっこいいデザインは、時として最悪なウェブサイトを作り上げる主犯になり得ます。このことは、かっこいいウェブサイトを作ることに夢中になっているデザイナーやクライアントには見えない(気づかない)場合が多々あり、作り終わって、公開した後に、周りから言われて初めて気づいていくケースがままある訳です。
しかしながら、誰もが使いやすいと思うナビゲーションなり画面デザインを作るのはとても難しいことです。そこで、誰のためにウェブサイトを作るのかという「基本的なコンセプト」が重要になるのです。そのウェブサイトを使う人は、
どんなリテラシーの持ち主で
どんなことなら学習してもらえるのか
を考えてみましょう。
誰もが知っている操作性をサイトに取り入れる事もユーザビリティを向上させる方法の一つではありますが、初めて接する操作性であっても、サイト全体が一貫した操作性能を持っていて、それが直感的で理にかなっていれば、一般的な操作性などを取り入れるよりも「優れた操作性」と評価されるでしょう。肝心なことは、使うユーザーの学習能力の多い少ないも考慮して、なにがサイトらしい操作性能なのかを考える事が、ユーザビリティ向上の第一歩と言えます。
そして、一部の人が操作性が悪いと感じる事があっても、大多数の人が指示していれば、それはそれで「よいユーザビリティ」であると言っていいと思います。少なくとも、僕はそう思います。

この考え方の延長線上に、視覚効果として文字を大きくする小さくするというデザイン表現に関わる問題もあります。
よく「ユーザビリティが悪い」と、文字を大きくするようにデザイナーに指示をしますが、単に大きくするだけがユーザビリティの向上ではないという事は申し添えておきましょう。
デザインのクォリティは、文字の表情やバランスによっても大きく左右され、よいウェブサイトの条件としてのデザインの善し悪しを崩してまで導入する必要のあるユーザビリティとはなにか?ということです。
そもそも、ユーザビリティあってのデザインであるべきところのデザインに対して、ユーザビリティが悪いと指摘する事は自己矛盾でもあるわけで、それは、デザイナーがユーザビリティの概念をわかってない証拠でもあるわけです。
一方で、メッセージ性という問題があります。
これはどういうものかというと、
そのウェブサイトの中で一番に伝えたいメッセージは何なのか
ということで、ウェブサイトをご覧いただくにあたり、ユーザーに隅から隅まで余す事なくみてもらう事は事実上困難というか不可能な中で、最低限みてもらいたいメッセージは何なのかを明確にし、最低限みるための動線を指し示すデザイニングが重要かつ不可欠であるということが、メッセージ性の確保と言えます。
ユーザビリティは、このメッセージ性の実現の一つの手段でもあります。猫も杓子も、何から何なで、視認性や可読性が悪いからと文字を大きくしたり色を変えたりするのではなく、そのウェブサイトの中で、
一番伝えたいこと、
これだけはみてもらいたいこと、
一番みてほしいこと
を表現することは、「誰のためのウェブサイトなのか」という基本的な考え方に通じていくのではないでしょうか。

情報をデザインすることや、サイトを設計することは、昨日今日デザインをかじった人には到底できないことだという理由にもつながるこの「ユーザビリティ」という言葉のウラ側は、デザインをよく熟知したひとほど見落としてしまう「おとし穴」にもなりうるものです。

デザインって、面白いですよね。(⌒o⌒)

投稿者 continue_kozai : 2007年03月18日 16:33

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